心のこもった人間的な関心
先日、看護学校の夏休みの課題が出まして、薄井先生(薄井担子著)の『看護の原点を求めて』(日本看護協会出版)という本を読んで感想文を書いてきなさいという宿題がありました。
その中で皆さんも聞かれたことがあると思いますが、ナイチンゲールの‘3重の関心’という文章があって、それは患者様の病気を知る「知的な関心」、処置などについて学び興味を持つ「技術的な関心」、そして「心のこもった人間的な関心」があると書いてありました。
私はこの三つの関心の中で、「知的な関心」や「技術的な関心」は後で学んで自分の技術を高めていけば身につくと思うのです。しかしその中で「心のこもった人間的な関心」については、学んで身につくものではなく、その人に対する優しさが必要だと思うのです。
私たちは患者様の今現在の一部しか知らないと思います。患者様を知るにはカルテだけではわからないし、昔のことなどは家族の方にも聞いて協力を得ないといけないと思うのです。特にこの病棟はターミナルの方を看取ることも多く、話せない患者様などは、家族の方との会話が大切だと思います。認知症を含め、精神科の患者様は、どうしても人と違った行動や言動、日常とは違うような雰囲気に目を奪われ、そこからその人のイメージを作ってしまうことが多いと思うのです。
しかし、本当はその方たちの普通の姿を知って看護にあたることが大切で、それを知ることで患者様へ新たな興味を持ち、心に触れることのできる看護へと繋げていけると思うのです。そのことを考えるとナイチンゲールのいう「心のこもった人間的な関心」というのは、精神科で最も必要なことではないかなぁと思い発表しました。