認知症治療
Vol.3その人らしさシート
特に認知症の当事者の方には長い生活史があり、その方の個別性を知ることから看護・介護は始まります。
安心感を持っていただくためには、個別性に沿った関わりが重要となります。実際、編み物が好きな方には編み物をして頂き、ついには私たちが使用する襷を作ってもらい、達成感を味わっていただくことで周辺症状が落ち着いた方もいらっしゃいます。
つまり、その方の生活史や趣味など「その人らしさ」を知ることが周辺症状改善への大切な伴となるのです。
パンの木病棟では本来、「その人らしさシート」という生活史を知るツールを入院時にご家族様に記入して頂いておりました。
しかし昨年度以降はコロナ禍のため、認知症の方の入院は感染対策のため他病棟を経由し、パンの木病棟に移るという流れになっております。
このため直接、ご家族様に記入していただく機会が減ってしまいました。他にも感染の状況が悪化とともに、対面での面会を中止、リモート面会とさせていただくなど、当事者の皆様とご家族様に大変ご不便をかけております。
先述した「その人らしさシート」も入院時に記載困難な際には、ご面会の際にご記入いただくこともあったのですが、その面会が困難となったため「その人らしさシート」を記入していただく機会もさらに減ってしまいました。
ご家族様からの情報は当事者の方の生活史や趣味などを知る上で大切なものです。今後も新型コロナウイルスの感染状況により面会状況は左右される可能性がございますが、パンの木病棟に面会に来られた際は、「その人らしさシート」にご記入していただいたり、当事者の方についてのお話をお聞かせ頂いたりして、看護・介護に活かしたいと考えております。